夏にバゲットをうまく焼くポイントを解説

夏にバゲットを焼くと、生地がベトついたり、ダレたりしてうまく焼けないと感じる人も多いのではないのでしょうか?それは夏の気温や湿度が大きく影響しているかもしれません。今回は、夏にバゲットをうまく焼くポイントを私の経験を元に解説していきたいと思います。

夏にバゲットがうまく焼けない理由その1 気温が高いことによる生地のダレ

夏は気温が高く室内の温度も26~30℃くらいまで上がる影響で生地温度も上がり生地がダレてしまいます。生地がダレて扱いにくいと感じるシーンは大きく2つあります。1つめは、ミキシング後の生地のダレです。室内温度の上昇に伴い、常温保存している材料も温度が上昇します。その結果、捏ね上げ温度が上昇することで生地のダレを感じてしまいます。2つめは最終発酵後の生地のダレです。室温で最終発酵をすることで生地温度が上昇し生地のダレを感じたり、クープ入れのタイミングで生地のダレを感じてしまいます。いずれも夏は気温が高くその影響で生地温度が上がり発酵も進んでしまうため生地が伸びやすくなってしまいダレを感じてしまうのです。

夏にバゲットがうまく焼けない理由その2 湿度が高いことによる生地のベタつき

気温が高いと飽和水蒸気量が多くなり、空気中により多くの水蒸気を含むことができるようになります。湿度が高いことによる生地のベタつきを感じるシーンは大きく2つあります。1つめは、ミキシング後の生地のベタつきです。原因としては小麦粉自体が湿気を多く吸収してしまっていることです。湿気を吸収した小麦粉はすでに水分を含んでいるため、レシピ通りの加水率で仕込んでも適切な加水率を超えてしまっているため、生地がベタつくことがあります。2つめは、クープ入れのタイミングです。クープを入れるときに生地が引きつれてしまいキレイにクープを入れられないときに生地のベタつきを感じます。いずれも夏は湿度が高くその影響で生地の水分量が適切な値を超えてしまうことによってベタつきを感じてしまうのです。

夏にバゲットをうまく焼くポイントその1 材料(小麦粉・水)を冷やしておく

それでは、夏にバゲットをうまく焼くためにはどのような工夫をしたら良いのかについて解説していきます。夏にバゲットをうまく焼くためのポイントその1は「材料(小麦粉・水)を冷やしておくこと」です。これはミキシング後の捏ね上げ温度の上昇を抑えるために行います。私の場合、小麦粉は野菜室で保管をし、硬水(ミネラルウォーター)は冷蔵庫で保管をしています。小麦粉は使用する時以外は空気に触れないように袋の口を閉じておきましょう。特に冷やした小麦粉は結露をしやすいので注意が必要です。軟水は水道水を使っていますが、軟水もミキシングする20~30分前に冷蔵庫に入れて冷やしています。それでも捏ね上げ温度が24℃以上になってしまう場合は、ミキサーのボウルを冷やしたりエアコンで室内温度を下げるなど追加の対策をすることをおすすめします。

夏にバゲットをうまく焼くポイントその2 室内はエアコンをかけて除湿をする

夏にバゲットをうまく焼くポイントその2は「室内はエアコンをかけて除湿をする」ことです。この方法はとても基本的かつ重要なのでぜひ行っていただきたいポイントです。パンの美味しさを追求するプロのパン屋さんの工房は常に一定の温度や湿度を保つために空調されており、かつ工房の至る所に温度・湿度計を設置しています。それくらいパン作りにとって室温・湿度のコントロールは重要だということです。私も夏は室温を24℃以下、湿度を45%以下になるようにエアコンをかけています。

夏にバゲットをうまく焼くポイントその3 クープ入れ前に生地を冷やす

上記のポイント2つを実践しても、どうしてもエアコンの性能により室温や湿度が下がりきらない場合があります。冬の室温が低く乾燥している季節と比べると、どうしても生地はダレやすくベトつきやすくなってしまうのが夏なのです。特にバゲットの最終工程であるクープ入れがうまく決まらないと、美しいクープのバゲットが焼けずモチベーションが下がってしまいます。

そんな時の最終手段が1つあります。それは「クープ入れ前に生地を冷やす」ということです。最終発酵時の生地表面を観察して湿り気があるようでしたら、クープ入れの5分前くらいに布どりをしている生地をそのまま冷蔵庫に入れて冷やします。5分程度の短時間であることがポイントなので冷やし過ぎにご注意ください。冷蔵庫の温度は4℃程度と非常に低いため飽和水蒸気量が少なく生地表面は乾燥していきます。また、生地表面が冷やされるため生地が締まります。生地表面は冷えて締まりますが、内側は冷やされていないため発酵が進むことで内圧が高くなりクープが多少入れやすくなる効果もあります。冷蔵庫から取り出した後は、すばやくクープを入れオーブンに入れましょう。冷蔵庫から取り出した生地表面は冷えているため、室内温度が高いと温度差で結露し生地表面がまた湿ってしまいますので注意が必要です。

いかがでしたでしょうか?夏はバゲットの生地がベタついたりダレたりしてうまく焼けないと感じている方は少なくないのではないかと思います。その原因を特定し適切な対策をすれば1年を通して一定のクオリティでバゲットが焼けると思います。ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか?

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