気泡のあるバゲットを焼き上げるためのポイントを分かりやすく解説

バゲットを焼く人の多くが目指すもの、それは「美しいクープ」と「蜂の巣のような気泡のあるクラム」の大きく2つだと思います。バゲット焼きの魅力とは、自分の理想のバゲットを焼くために試行錯誤を繰り返し、うまく焼けた時の嬉しさや成長感を感じることだと感じています。しかし、この2つの難易度が極めて高いため、途中で心が折れてしまう人も多いのではないかと思います。

今回は、ある程度クープが開いてきた人の次のステップとして、「蜂の巣のような気泡のあるクラム」を作るためのポイントを解説していきたいと思います。小さな成功体験を積み上げていき、バゲット焼きの楽しさを感じていただければ幸いです。

まずはバゲットのクラムに気泡ができるメカニズムを知る

蜂の巣のような気泡のあるクラムを作る前に、なぜ蜂の巣のような気泡ができるのか?どのようにして気泡ができるのか?というメカニズムを探っていきたいと思います。気泡ができるメカニズムを知ることで、逆算して意図的に気泡を作ることが可能になります。そのメカニズムの中には、気泡ができる要素が複数存在しています。この複数存在する要素の連関性を知ることがとても重要になります。

気泡のあるバゲット

気泡ができる要素その1「低ミキシングによるグルテン膜の弱さ」

まず、バゲットのクラムに大小の気泡ができる要素の1つめとして、「低ミキシングによるグルテン膜の弱さ」があります。窯入れして熱が加わった瞬間に生地内の水分が蒸発し、今まで抱えていたガスを抱えきれなくなった小さな気泡膜が破れ、隣接する気泡膜と結合し合うことで大きな気泡が作られます。グルテン膜が強すぎると、膜を破ることができずに目の詰まった小さな気泡になってしまいます。ですので、大小の気泡を作るためには、気泡膜が破れるくらいグルテン膜の弱さが必要であり、そのためには低ミキシングが必要になるという逆算になるのです。

気泡のあるバゲット

気泡ができる要素その2「グルテン膜を破るために必要十分なガス量」

バゲットのクラムに大小の気泡ができる要素の2つめとして、「グルテン膜を破るために必要十分なガス量」があります。一次発酵がアンダーだと、生地内のガス量が足りず、気泡膜を破るための十分な力がない状態になってしまいます。そうなると、当然のことながら目の詰まったクラムになることは明らかです。大小の気泡を作るためには、グルテン膜を破るためのガス量が必要であり、そのためにはガスを十分に含んだ適正な一次発酵が必要になります。

気泡のあるバゲット

気泡ができる要素その3「生地中の水分を一気に蒸発させる火力(下火)」

バゲットのクラムに大小の気泡ができる要素の3つめとして、「生地中の水分を一気に蒸発させる火力」があります。窯入れ後の生地温度の上昇でイーストが活性化し、ガスを急激に発生させると言われていますが、私が焼いている微量イースト&低温長時間発酵バゲットの場合は、そもそも生地内のイースト量は少なく、それほど大きな影響ではないと考えています。

それよりも、生地内の水分の蒸発による空気の膨張の方が大きな要素となります。ここでポイントとなるのが火力であり、特に「下火」が重要な要素となります。窯入れ直後から一気に下火を入れることで瞬時に生地中の水分を蒸発させ、空気の膨張を利用し、まだ生地が硬くなる前にグルテン膜を一気に破ってしまいます。大小の気泡を作るためには、グルテン膜を破るための空気の膨張が必要であり、生地が硬くなる前に一気に生地中の水分を蒸発させる必要があります。だからこそ「下火」が重要なのです。

ちなみに、家庭用オーブンだと、どうしてもこの「下火」の強さを出すことが難しいです。下火を補うために、熱伝導の良い銅板を使う方法もありますが、どうしても生地表面付近しか一気に熱が入りません。なぜかというと「輻射熱」が関係しているのです。輻射熱とは、遠赤外線の熱線によって直接伝わる熱の事を言います。輻射熱は、物体の中の方まで熱が届く効果があります。パン屋さんの業務用オーブンは石床になっており、その圧倒的な熱量(火力)と石床による輻射熱で一気に生地の中まで熱を入れることができます。だからこそ、蜂の巣のような大小の気泡ができるのです。私はこの石床による輻射熱を家庭用オーブンで発生させるために、ストーンプレート(溶岩プレート)を利用しています。ストーンプレートを使うことについては、火傷の危険性もあるため自己責任でお願いしたいのですが、私はこのストーンプレートを利用することによって、一気に生地中の水分を蒸発させ、グルテン膜を破ることによって「蜂の巣のような気泡」を作り出しています。

バゲットのクラムに気泡ができるメカニズムまとめ

今回お伝えした気泡ができる要素をまとめますと、①「低ミキシングによるグルテン膜の弱さ」、②「グルテン膜を破るために必要十分なガス量」、③「生地中の水分を一気に蒸発させる火力(下火)」の3つをお伝えしました。この3つの要素が揃ったときに、蜂の巣のような大小の気泡ができるというメカニズムになっています。まずはグルテン膜の弱い生地を作り、グルテン膜が破れる手前までしっかり一次発酵でガスを含ませて、焼成時の火力(下火)で水分を一気に蒸発させてグルテン膜を破るイメージです。なんとなくイメージがつきましたでしょうか?

特に①と②に関しては、すぐに実行できることですので、ぜひ試してみてください。具体的には、①生地はこねすぎない。ミキシングは材料が混ざればOK。目安は3分以内。グルテンはパンチで繋いでいく。②一次発酵は生地の膨倍率2~2.25倍くらいになるまでしっかりガスを含んだ生地にする まずはこの2つを意識しましょう。

「手軽にもうちょっと気泡のあるバゲットを焼きたい」という方は、銅板を使ってバゲットを焼くことをお勧めします。

「蜂の巣のような気泡のあるバゲットを焼きたい」という方は、ストーンプレートを使ってバゲットを焼くことをおすすめします。ストーンプレートは予熱に時間がかかります。厚みにもよりますが1時間は予熱した方が良いと思います。私の場合、30分予熱+ガスコンロで加熱という方法をとっていますが、耐熱グローブを使用するなど火傷防止に注意が必要なので、くれぐれもご注意いただければと思います。

いかがでしたでしょうか?今回は、「蜂の巣のような気泡のあるクラム」を作るためのポイントとして、「気泡ができる複数の要素」と「その要素が連関しているメカニズム」についてお話しました。かなりマニアックなお話でしたが、こういった理論を知ることで再現性が高くなりますし、試してみた結果に変化が起きるとバゲット焼きがより一層楽しくなります。ぜひ実際のバゲット作りで試していただき、気泡のあるバゲットを焼き上げてください。

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