今回はフランス産準強力粉の「シェリジー・トラディションT65」を使ってバゲットを焼いてみたので、その使用感や味・香りなどをレビューしていきたいと思います。シェリジー・トラディションT65はフランスのムーラン・ド・シェリジー社が製粉・販売しているフランス産準強力粉です。ムーラン・ド・シェリジー社は、フランスの老舗製粉会社で品質には定評があり、パリ近郊で400軒ものブーランジェリーに愛されているとのことです。それではさっそくレビューしていきたいと思います。
そもそも「T65」とは何か?
まず、名前についている「T65」とは何かについて、おさえていきたいと思います。フランスでは、小麦の種類を「Type + 数字」で分類しています。分類の基準は「灰分量」です。ざっくりと下記のように分類されます。
T45 | T55 | T65 | T80 | T110 | T150 | |
灰分量 | ~0.50% | 0.50~0.60% | 0.60~0.75% | 0.70~0.90% | 1.00~1.20% | 1.40%~ |
日本でも灰分量によって、特等、1等、2等、3等と分類されますが、灰分量による分類は、日本ではあまり馴染みがありません。日本の小麦粉の分類はタンパク量での分類が馴染み深いですね。ちなみに日本のタンパク量による分類はざっくりと下記のように分類されます。
薄力粉 | 中力粉 | 準強力粉 | 強力粉 | |
タンパク量 | 6.5~8.0% | 8.0~9.0% | 9.0~11.5% | 11.5~12.5% |
シェリジー・トラディションT65の基本情報
シェリジー・トラディションT65のタンパク量は11.7%と準強力粉の中では比較的多めなタンパク量です。灰分量は0.5%と準強力粉の中ではやや高めの数値。粉を目視で確認すると、ふすまのつぶつぶが多く確認できます。灰分だけみるとT55に分類されそうですが、詳しいことは不明です。小麦粉中に麦芽粉と酵素が入っているため、ユーロモルトは通常よりも使用量を抑えめでも良いかもしれません。
価格は1kg税込969円と少々高めの設定。同じくフランス産準強力粉のラ・トラディション・フランセーズと張り合う金額です。本場フランスの粉という観点においては致し方ないのでしょうか。
cotta フランスパン専用粉 シェリジー・トラディションT65 1kg バレンタイン 手作り 価格:969円 |
シェリジー・トラディションT65は吸水良く生地は扱いやすい
シェリジー・トラディションT65の特徴は「吸水の良さ」にあります。私はバゲットの加水量を70%で仕込みましたが、十分吸水して生地は扱いやすく感じました。この点においてはラ・トラディション・フランセーズと決定的に異なるポイントです。フランス産小麦を使用したバゲットを焼きたいけれど、扱いづらい粉は苦手と感じている方にはおすすめです。
シェリジー・トラディションT65は芳醇な香りが特徴
肝心の味や香りですが、シェリジー・トラディションT65は灰分量がやや高いことから、小麦粉本来の芳醇な香りが楽しめるのが特徴となっています。同じフランス産準強力粉のメルベイユと比較すると、穀物特有の雑味やエグ味が少なく、野性味が強く現れているメルべイユに対して、シェリジー・トラディションT65は全体的に上品な仕上がりになっています。この粉の特徴を最大限引き出すためには微量イースト&低温長時間発酵の製法をおすすめします。
シェリジー・トラディションT65は初心者の方でも気軽に楽しめる本場フランス産の粉
まとめますと、シェリジー・トラディションT65はお値段はやや高めですが、吸水が良く生地は扱いやすいこと、小麦粉本来の芳醇な香りが楽しめること、これらの特徴を踏まえますと、初心者の方でも気軽に手にとってバゲットを焼くことができる本場フランス産準強力粉だと言うことができます。うまく焼けるようになったら、他のフランス産準強力粉と味比べをしてみるのも楽しいかと思います。特にラ・トラディション・フランセーズとの比較をすることで、生地の扱いやすさや、味・香り・クラストの食感の違いなどが分かるかと思います。ぜひお試しください!
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