バゲットの美しいクープと蜂の巣クラムを両立させるためのポイントとは?

今回はバゲットを焼くことにのめり込んでしまった人向けに「バゲットの美しいクープと蜂の巣クラムを両立させるためのポイント」について、私が試行錯誤してきた経験をもとにお話していきたいと思います。

製法・発酵・成形・クープ入れ・焼成時のスチーム、どの工程にも押さえるべきポイントがあるのですが、その中で私が特に重要だと思うポイントを4つご紹介していきます。

ポイント①製法・発酵編 微量イースト&低温長時間発酵で生地を熟成させる

微量イースト&低温長時間発酵は、クラストを甘く香ばしくするなど味に影響してくる部分が大きいのですが、蜂の巣状の大小の気泡が入ったクラムに仕上げるためには、低ミキシングで捏ね上げ温度を抑えながらも、低温で長時間発酵させることによってゆっくりグルテンを形成させ、伸びが良く適度にガスを抱え込める生地を作ることが必要だと感じています。

ポイント②クープの開きと蜂の巣クラムの両立させる「ベストな加水量」を見つける

加水量は比較的多めの方が生地の伸びは良く蜂の巣状のクラムに仕上がりやすいのですが、美しいクープを兼ね備えるという観点においては、その加水量のバランスを見極めることが重要です。使う粉の吸水力にもよりますが、私が良く使うモンブラン(日東富士製粉)70%、メルベイユ(日本製粉)30%のブレンドでの加水量は70%がベストだと感じています。

加水量が少なめであればクープは開きやすくクラムは蜂の巣状になりにくい、加水量多めであればクープは開きにくく、クラムは蜂の巣状になりやすい。このバランスを見極めるために1%ずつ加水量を変えながらベストの加水量を見つけることが重要だと感じています。

ポイント③成形時の生地を折る回数で生地の締めをコントロールする

バゲットの成形は、生地を三つ折りにしてさらに二つ折りにして棒状にしていくのが基本形ですが、クープを開きやすくするためこの二つ折りの作業を2回行い、生地を締める必要があります。ここでもバランスが重要なのですが、生地を締めすぎるとクープは開きますがクラムは蜂の巣状になりにくくなり、生地を緩めすぎるとクラムは蜂の巣状になりやすいがクープは開きにくくなります。私の場合、生地は0.025%の微量イーストと17℃18時間の低温長時間発酵、加水量は70%の条件になっていますので、一次発酵後の生地はややゆるい状態となっており、成形は三つ折り1回、二つ折り2回でやや生地を締める方がバランスが取れると感じています。

ポイント④最大限窯伸びできるスチーム量を見出す

この記事を見ているほとんどの人は家庭用オーブンでバゲットを焼いているかと思います。家庭用オーブンは小型で蓄熱性が悪く、熱風を当ててパンを焼くため、生地が窯伸びしきらないまま生地の外側が焼き固まってしまい、水分の抜けが悪くクラムが詰まったパンになりがちです。

バゲット焼きを試行錯誤している人の中には、窯入れ後に霧吹きでスチームを発生させ、熱風で焼き固まらないように5分程オーブンを停止させて窯伸びさせている人も多いのではないでしょうか。確かにクープを開かせるという観点においては、オーブンを5分程停止させる方法は有効なのですが、その反面、窯内の温度が下がってしまうため蜂の巣状のクラムを作るという観点においてはマイナスに働いてしまいます。ですので、エッジが立った美しいクープと蜂の巣クラムの両方を手に入れるためには、窯入れ後にオーブンを停止するのではなく、窯入れ後に最高温度で焼成しても生地表面が焼き固まらない量のスチームを入れることが重要だと感じています。

そこで論点になるのが、どのくらいのスチーム量を入れれば良いのか?ということですが、私の場合、霧吹きでスチームを発生させるのではなく、熱湯50ccくらいをオーブン床に流してスチーム発生させています。その方が扉を開けている時間が短くなり、窯内の温度を下げずに済みます。入れた瞬間はスチーム量が多いかなと思うかもしれませんが、オーブンの熱風があっても3分くらいはスチームが窯内に残っているため、窯伸びが良くクープも開き、クラムも蜂の巣状に仕上がっています。

余談ですが、蜂の巣状のクラムに仕上げるためには、強い下火で一気に生地を窯伸びさせることが重要です。家庭用オーブンで下火を強化させるための方法は別の記事でご紹介していますので、そちらを読んでいただければと思います。

多めのスチームでもエッジが立ったクープができる
多めのスチームでもエッジが立ったクープができる
ポイントを押さえることで美しいクープと蜂の巣状のクラムの両方を実現できる
ポイントを押さえることで美しいクープと蜂の巣状のクラムの両方を実現できる

いかがでしたでしょうか?私が思うバゲット焼きの楽しさとは、「仮説検証の繰り返しによって理想のバゲットに近づくこと」だと感じています。失敗を繰り返して仮説検証を繰り返せば、必ず理想のバゲットに近づくことはできますので、その成長プロセスにやりがいと魅力を感じているからこそ、こんなにもバゲットを焼くことにのめり込んでしまったのだと思います。焼きあがったバゲットを見て思うように焼けずに悔しい思いをしている人にとって、この生地が何かのヒントになれば幸いです。自分の理想のバゲットを追求していきましょう!

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