今年は、いつもと違うバレンタインを。「ほんのり甘いショコラバゲット」のレシピ

バレンタインデーといえば「チョコレート」ですよね。でも、毎年チョコレートをプレゼントしているので、今年はいつもと違うバレンタインにしたいなと思うこともあるかもしれません。そんな時は、「バレンタインにパンの贈り物」はいかがですか?バゲットにココアパウダーとチョコチップを加えた「ショコラバゲット」であれば、ほんのりチョコの甘さとバゲットの香ばしさが、いつと違うバレンタインデーを演出してくれるはずです。

ほんのり甘いショコラバゲットのレシピ

準強力粉93%、ココアパウダー7%、硬水(コントレックス)25.3%、軟水(水道水)47.7% 塩2%、インスタントドライイースト0.025%、ユーロモルト0.8%、チョコチップ適量 お好みでオレンジピールを少量入れるのもおすすめです ※家庭用オーブンでバゲット2本仕込みであれば、粉量は300g程度が目安

生地はココアパウダーを入れることによって、いつもより硬くなります。通常のバゲットを加水70%で仕込んでいる場合は、ショコラバゲットの場合は加水73%(通常+3%)を目安に、それでも生地が硬い場合は+1~2% 程度バシナージュで調整してみてください。

準強力粉93%、ココアパウダー7%、インスタントドライイーストは、あらかじめミキサー内で混ぜておく。硬水と軟水をブレンドした水73%の中に塩2%、ユーロモルト0.8%を混ぜ合わせておく。

3分間ミキシングを行い、ミキサーから取り出した生地は軽く丸めておく。※家庭用オーブンでバゲット2本仕込みであれば、この時点で2つに分割しておくと成形の時に綺麗に四角形に広げることができるのでおすすめです。こね上げ時の生地のグルテンは繋がっていなくてもOK。15分後にパンチを1回目を行い、その15分後に2回目のパンチを行うことでグルテンをつなげていく。ただし、通常の生地よりも硬いと感じる場合は、パンチ1回のみでも大丈夫です。1次発酵は17℃で18時間発酵させる。途中のパンチは一切行いません。

ショコラバゲットの重要なポイントは「成形」

18時間後の膨倍率は1.8~2倍程度、生地の表面に気泡はあまり見られないかもしれませんが、1.8倍くらいに膨らんでいればOKです。粉300g仕込みでミキシング後に分割している場合は、すぐに生地を取り出して成形に入ります。一次発酵後に分割する場合は、分割後に軽く丸めて20分ほどベンチタイムをとります。

ショコラバゲットをきれいに焼き上げるための重要なポイントは「成形」です。ポイントは2つあります。1つめは「生地をきれいな四角形に伸ばして成形すること」です。生地の厚さは1cm~1.5cm程度に均等に伸ばしていきます。生地の気泡などは気にせず指先で生地を押して伸ばしていきます。ここできれいな四角形に伸ばせるかどうかでバゲットのシルエットが決まりますのでぜひポイントを押さえてみてください。

ポイント2つめはチョコチップを生地に入れるタイミングです。チョコチップを入れるタイミングは、1回目の三つ折りをした後からです。理由は、四角形に伸ばした後にチョコチップを入れてしまうと、焼成時にチョコチップが生地表面に出て過ぎてしまうからです。ですので、チョコチップを入れるタイミングは、1回目の三つ折りをした後からがおすすめです。※お好みでオレンジピールを少量入れるのもおすすめです。

1回目の三つ折りをした後、チョコチップを適量並べる

1回目の三つ折りをした後、チョコチップを適量並べたら、2回目の三つ折りをします。2回目の三つ折りが終了したら、ここで一度生地を指で押して均等な厚さに伸ばしていきます。生地の厚さが均等になったら、生地の上側1/4あたりにチョコチップを並べて、奥側から3cm程度手前側に折り返してチョコチップを包んでいきます。包み終わったら、もう一度生地の上側1/4あたりにチョコチップを並べて同じく奥側から3cm程度手前側に折り返してチョコチップを包んでいきます。この時点でクルクルと2回巻いている状態です。

2回目の三つ折りが終了し、生地の上側1/4あたりにチョコチップを並べる
奥側から3cm程度手前側に折り返してチョコチップを包んでいく
最後の巻きの時はチョコチップは入れない

最後の下側1/4の生地を巻いて成形が終了となるのですが、この最後の巻きの時は、チョコチップは入れません。理由は前述した通り、焼成時にチョコチップが生地表面に出て過ぎてしまうのを防ぐためです。つなぎ目はしっかり閉じて生地表面が張った状態ができたら、生地を転がしながら太さを均一にしていき、約40cmくらいの長さになるまで軽く伸ばしていきます。成形が終わったらキャンバス布に生地をのせ、ひだ取りをして左右から生地を支えましょう。

最終発酵している生地

最終発酵は室温で約30分。表面をわずかに乾燥させるのがポイント。

最終発酵は室温(20℃~24℃)で約30分とり、その間にオーブンを最高温度で予熱しておきましょう。最終発酵のポイントは、生地表面をわずかに乾燥させるのがポイントです。生地表面をわずかに乾燥させることによって、クープナイフの入りが良くなります。季節によっては湿度が高く、生地表面が湿ってしまうことがありますが、その際はクープ入れする前に軽く粉を振ってクープの引きつれを防ぎましょう。ショコラバゲットの場合は生地がチョコレート色のため、粉を振るとクープとのコントラストがきれいに映えます。

クープ入れした生地

最高温度での予熱が終わったらいよいよ焼成です。私の場合、さらに下火を強化するためにストーンプレートを別途加熱を行行っています。遠赤外線効果の高いストーンプレート使って生地に一気に火を入れることでクープを開かせています。※くれぐれも自己責任で安全第一でお願いします。

布にある生地は取り板(バゲットと同じ長さの薄い板)を使って取り出し、スリップピールに移します。切れ味の良いクープナイフでクープを4本~5本いれて、素早く窯入れします。窯入れ後は多めのスチームを入れます。私の場合、オーブン床に熱湯を80~100ccくらい入れてスチーム発生させています。

窯入れ後の最初の3~5 分は最高温度で焼成し、オーブンキックさせます。よく「熱風で乾燥を防ぐために最初の3分はオーブンを切ると良い」と言われることがありますが、私はオーブンを切ることはしていません。理由はオーブン庫内の温度が下がるからです。オーブン庫内の温度が下がるとオーブンキックが弱くなりクープの開きが弱くなります。生地の乾燥はスチームを多めに入れているためそこまで気にしなくても大丈夫です。それよりも、「3分以内にいかに生地温度をあげてオーブンキックさせるか」が重要ポイントになります。

窯入れした3分後には温度を220℃に落として約12分焼成します。その後、焼きムラを防ぐために生地の向きを変えて220℃で約12分焼成します。焼成時間はトータルで約27分です。

発酵・成形・クープ入れ・焼成時のスチーム量・焼成温度などの工程がうまくいけば、エッジの立ったきれいなクープに仕上がります。

いかがでしたでしょうか?ショコラバゲットは、いつものバゲットとは一味違った表情を見せてくれます。生地はココアパウダーが入っているだけで、そのほかは通常のバゲットと同様に砂糖やバターを使わないリーンな生地のため、甘さはチョコチップのほんのりとした甘さのみになります。このほんのりとした甘さとバゲットの香ばしさは、大人も子供もみんなが喜ぶのではないでしょうか。

今年は「ほんのり甘いショコラバゲット」で、いつもと違うバレンタインを過ごしてみてはいかがでしょうか?

※2022年2月追記 ショコラバゲットのフィリングにオレンジピールとチョコクランチを入れてみたので実食レポートしたいと思います。

まずオレンジピールですが、こちらは甘いチョコレートチップにほろ苦いオレンジピールがとてもマッチしています。バゲットの香ばしさに加えて柑橘系のさわやかな香りが広がり、味と香りに奥行きを加えてくれます。

一方、チョコクランチはあまり効果がありませんでした。チョコクランチを入れることによって、サクサク食感の楽しさを加えたかったのですが、バゲットのクラストの食感が強すぎてチョコクランチの存在がかき消されてしまっていました。ですので、チョコクランチを入れるよりも、その分チョコレートチップを多めに入れたり、クロワッサン用のバトンショコラを入れたりするなどのアレンジの方が良いと感じました。みなさんのご参考になれば幸いです。

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