今回は加水率70%のバゲット生地を使ったリュスティックの基本レシピをご紹介します。リュスティックは加水80%以上の高加水生地で作るとモチモチ食感になって美味しいのですが、生地が扱いづらかったり、バゲットやベーコンエピなどに使用するには生地が緩すぎるのが難点です。加水率70%のバゲット生地を使ってもリュスティックは美味しく仕上がりますので、ぜひ試していただければと思います。
微量イースト&低温長時間発酵バゲットの生地の作り方
私がバゲットを作る際には、微量イースト&低温長時間発酵で生地作りをしています。以前の記事でもレシピをご紹介していますので、そちらもぜひご覧ください。
バゲット生地の作り方
準強力粉(モンブラン)70%、準強力粉(メルベイユ)30%、硬水(コントレックス)16.5%、軟水(水道水)53.5%、塩2%、ユーロモルト0.8%、インスタントドライイースト0.025% ※家庭用オーブンであれば、リュスティック4個(2個×2回焼成)で粉量は300g程度が目安
準強力粉(モンブラン)70%、準強力粉(メルベイユ)30%、インスタントドライイースト0.025%は、あらかじめミキサー内で混ぜておきましょう。硬水と軟水をブレンドした水70%の中に塩2%、ユーロモルト0.8%を混ぜ合わせておきます。ユーロモルトは分量内の水で溶いておきます。
あらかじめミキサーに投入しておいた粉に、先ほど混ぜ合わせた水を少しずつ入れて水和させます。3分間ミキシングを行い、ミキサーから取り出した生地は軽く丸めておきましょう。家庭用オーブンでリュスティック4個仕込みであれば、この時点で2つに分割しておきましょう。焼成時は2回に分けて焼成しますので、2回目に焼く生地の温度を上げないためにも、この時点で分割しておくことをおすすめします。
2回に分けて焼成する理由は、オーブンの火力です。一気に4個焼成すると家庭用オーブンでは火力不足で生地がうまく立ち上がりません。1回に焼成する生地量は250〜260gを上限としましょう。今回のリュスティックの場合、粉量300g仕込みであれば、生地1個が130g程度になります。ですので、1回の焼成で2個が上限になります。
ミキシングが終わった15分後にパンチを行う
ミキシングが終わった15分後にパンチを行います。今回私がメインで使っている準強力粉(モンブラン)は北米産中心の粉のため、比較的蛋白量が多めで吸水も良いので、パンチを1回行っただけである程度生地として成立しています。フランス産や国産の準強力粉を使用する場合は、さらに15分後に2回目のパンチを行うことをおすすめします。
1次発酵は17℃で18時間発酵。その後に成形へ
パンチが終了したら17℃で18時間発酵させます。途中のパンチは一切しません。18時間後の発酵膨倍率は約2倍です。発酵後の生地はうっすらと表面に気泡が見られます。
1次発酵が終了したら成形に入ります。成形といってもリュスティックですので、簡単な折りたたみ程度になります。まず生地を取り出したら、生地の厚さを均一にするために生地をポンポンと叩きながら四角に伸ばしていきます。アレンジレシピで「バジルとチーズのリュスティック」を作る際には、ここでシュレッドチーズとバジルを適量散りばめます。手前1/3はプレーンな状態にしておいてください。
その次に、生地を三つ折りにしていきます。奥側から1/3を折りたたみます。バジルとチーズのリュスティックの場合には、ここでもシュレッドチーズとバジルを適量散りばめてください。最後に手前1/3を折り返し、横長の長方形の状態にします。その後、2つに分割します。分割した断面は指で押さえて閉じておくと焼成の時に断面部分が開かずにクープの方が開いてきます。
最終発酵は室温(20℃~24℃)で約30分。オーブンは最高温度で予熱しておく
最終発酵は室温(20℃~24℃)で約30分とり、その間にオーブンを最高温度で予熱しておきましょう。私の場合、最高温度での予熱が終わったら、さらに下火を強化するためにストーンプレートを別途加熱を行います。下火で一気に水分を蒸発させることによって大小の気泡を作っています、※くれぐれも自己責任で安全第一でお願いします。
焼成前に生地に打ち粉を振り、カードですくい取ってスリップピールに移します。切れ味の良いクープナイフでクープを1本斜めに入れ素早く窯入れしましょう。窯入れ後は多めのスチームを入れます。オーブン床にあらかじめ熱しておいた熱湯を70ccくらい入れてスチーム発生させます。バジルとチーズのリュスティック生地はチーズが溢れるため、必ずオーブンシートを下に敷いて焼成しましょう。
窯入れ後の最初の5 分は最高温度で焼成し、オーブンキックさせます。※この時にスチーム量が足りないと表面が焼き固まりクープが開かなくなるので、生地表面に蒸気が当たっているかチェックし、スチームが足りない場合は20ccほど追加でスチームを入れます。5分後は温度を220℃に落として約22分焼成します。焼きムラを防ぐために途中で生地の向きを変えます。焼成時間はトータルで約27分。焼き色をみて焼成時間は調整しましょう。
焼き上がったリュスティックは高さと大小の気泡が特徴
焼きあがったリュスティックは、高温で一気に水分を蒸発させるため生地が上方向に立ち上がり、高さがでます。また、クラムは大小の気泡が入ります。
リュスティックの高さを出すコツ、大小の気泡を作り出すコツは、「下火」にあります。私のようにストーンプレートを使用するか、天板に銅板を使用するなど、下火を強化するための工夫をすることで、いつものパンがより美味しく仕上がります。ぜひ試してみてください。
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