何度焼いてもバゲットのクープが開かない…とお悩みの方も多いと思います。これは、バゲットを焼く人が例外なく通る道なのです。しかし、何度もトライ&エラーを繰り返せば必ず理想のバゲットは焼けます。前回は「バゲットがうまく焼けない場合にチェックすべき8項目と対策」をお伝えしましたが、それでもバゲットのクープが開かないという方に対して、どうしても開かない時の対処法をお届けしたいと思います。前回の記事も記載しておきますのでご確認ください。
対処法その①一度生地の加水率を67%くらいまで下げてみる
バゲットの加水率は70%が基本ですが、それより多く加水していれば、生地はゆるくダレやすいのでクープはあまり開きません。粉の吸水率にもよりますが、加水率70%の生地は初心者の方にとって少々扱いづらいと思います。その結果、成型時にしっかり巻き・締めができず、クープが開かないことがあります。
クープがどうしても開かない場合は、一度加水率を67%まで下げてみて、ある程度の弾力のある生地を使って、しっかり巻きで締める成形を行うことをおすすめします。クープの開きが安定してきたら、1%ずつ段階的に加水率を上げて、最終的に70%まで引き上げてみましょう。
対処法その②生地量を少なくする
家庭用オーブンの火力には限界があります。オーブンの火力に対して生地量が多いと、窯内の温度が下がり、オーブンキック(生地に火が通り生地が一気に膨らむこと)する前に生地の外側が焼き固まってしまい、クープが開きにくくなってしまいます。私の経験では、家庭用オーブンで1回に焼成するバゲットの生地量は約250gが限界です。粉量は300gで仕込んで、バゲット2本分を1本ずつ2回に分けて焼成しています。どうしてもクープが開かない場合は、生地量を200gくらいに抑えて焼いてみてください。焼成は1回につき1本が原則です。
それでもクープが開かない場合は
上記の対処法を試してみてもクープが開かない場合は、生地の発酵状態(一次発酵不足もしくは過発酵)を再確認し、発酵膨倍率2~2.25倍になっていることを確認しましょう。最終発酵の時間を取りすぎても生地がダレてしまいますので、最終発酵は基本30分、長くて1時間を目安にしてください。また、オーブンの温度が低い可能性も考えられますので、余熱時間を増やしてみる、実際の窯内の温度を計ってみるなど対策をすることをおすすめします。私はオーブン内の温度を測るために、下記のタニタのオーブン用温度計を使っています。300℃で予熱設定しても、実際には300℃に到達していないことがほとんどです。最低でも実測で220℃くらいまで温度上昇させてから窯入れをしましょう。
いかがでしたでしょうか?バゲットはパン作りの中でも最高難易度のパンですので、すぐに美しくかっこいいバゲットが焼けるわけではありません。しかし、何度もトライ&エラーを重ねることで確実に上達します。そのトライ&エラーのプロセスを楽しみ、小さな成功体験や成長を実感するのもバゲット修行の醍醐味だと私は感じています。ぜひ自分なりの仮説と検証を行い、うまく焼けた時の喜びを味わってみてください。
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