今回は微量イースト&高加水でもっちりクラムのカンパーニュを焼く方法をご紹介していきます。前回に引き続き、イースト量0.1%でオーバーナイト発酵しています。微量イースト&オーバーナイト発酵のメリットや作業時間帯として最も最適な理由は前回の記事をご参照ください。
高加水パンのメリット・デメリット
高加水パンはその名の通り水分を多く含んでいるので、もっちり食感のクラムに仕上がります。またデンプンが糊化することによりクラムに独特のツヤ感が出るのと、水分を多く保持するのでパンの老化を遅らせるメリットがあります。一方、デメリットとしては、デロデロ・ベタベタの生地が扱いにくく、高度な製パン技術が求められるので、初心者の方には難易度が高いパンとなります。また、パン・ド・ロデヴなど、一度ミキシング時にグルテン形成してからバシナージュ(加水)していく方法や、ルヴァン種を併せて使う方法など、製法もひと手間多くなることもあります。
今回焼いたカンパーニュのルセット(レシピ)
準強力粉(モンブラン)85%、ライ麦全粒粉(細挽)15%、水90%、塩2%、ユーロモルト0.6%(同量の水で割る)、インスタントドライイースト0.1% ※家庭用オーブンなら粉量は250~300gが最適
準強力粉(モンブラン)85%、ライ麦全粒粉(細挽)15%、インスタントドライイースト0.1%をミキサーに入れる。塩2%、ユーロモルト0.6%はあらかじめ水90%と混ぜておく。ミキサーで粉全体が混ざったら徐々に水を入れていく。ミキシング時間は10分。かなりベタベタしているので、生地全体がミキシングできるようにミキサーについた生地をカードでまとめながらミキシングをする。ミキサーから取り出す際に、回転中の生地に打ち粉をして一瞬まとまった時にすぐに取り出す。捏ね上げ後は三つ折りにてボウルに入れておく。20分後に1回目のパンチ、さらにもう20分後に2回目のパンチその後、20℃で8時間オーバーナイト発酵させる。
発酵後の膨倍率は約2.25~2.5倍程度、ボウルから取り出し、長方形に伸ばして三つ折りを行う。この時注意したいのが生地の取り扱い方。かなりゆるい生地なので、手数を少なく手早く行うのがポイント。べたつきやすいので打ち粉は多めに使う。ホイロはキャンバス生地に打ち粉をたっぷり振り、ひだをつくって生地を挟む。ホイロ時間は生地が少し緩む程度の30分(常温)。家庭用オーブンであれば、300℃で予熱する。予熱後、さらにストーンプレートを火にかけて加熱する。※くれぐれも自己責任で火傷にご注意ください
たっぷり打ち粉を振ったスリップピールに生地を移し、お好きなようにクープを入れて窯入れする。窯入れの際にスチームを多めに入れる(入れすぎに注意)最初の5分はオーブンを停止し窯伸びさせる。その後230℃で20分、220℃で15分、210℃で15分の合計50分焼成する。焼成時間は焼き具合を見ながら調整する。焼成後、パンの底部を叩いてコンコンと乾いた音がすれば水分が程よく抜けた証。
ストーンプレートで下火を強化すれば、高加水のゆるゆるな生地でもしっかり立ち上がってくれます。ホイロ時間も30分と生地を緩めすぎないのもポイントです。ホイロ時間を短くするためには、1次発酵でしっかりガスを含んだ生地に仕上げることが重要です。
子供達からお腹すいた〜と催促がきてしまったので、今回も完全に冷めきらないうちにカットしてしまいました…
クラムは大小さまざまな気泡がありますが、少し詰まった箇所もあるのでここは改善ポイントですね。1次発酵後の成形時に三つ折りの高さを出しすぎたこと、生地量が多く家庭用オーブンの熱量不足でオーブンキックが足りたかったことが考えられます。この点を次回は改善していきたいと思います。
いかがでしたでしたでしょうか?気泡がたっぷり入った高加水のもっちりカンパーニュは、生地の取り扱いや発酵具合など一段と難易度が上がりますが、チャレンジしてみると、新たな気づきや発見があり「次回はここを改善しよう」と次のパン焼きのモチベーションにもつながるかと思います。そして、自分の理想通りのパンが焼けた時は、成長感や達成感を味わえるのではないでしょうか。ぜひ高加水パンにチャレンジして、新しい気づきや発見を見つけてみてください。
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